サラダを作る

こちらでインド人といっしょに仕事をしていると,彼らとのコミュニケーションにおいて気苦労が絶えない。こういう悩みを抱えるのはインド人と仕事を共にする日本人の宿命らしくて,職場の同僚はみんな同じように悩んでいるし,ウェブを検索すれば似た境遇の人達の体験談が山のようにヒットする。とりわけこの人の体験談は染みた。この人の気持ちがよ〜〜〜く分かる。本当にこの通りなんだもん。この記事は4年以上前のものだけれど,当時も今も事情が同じなのは間違いない。ただ,インド人はインド人で彼らのやり方で今まで彼らなりに問題なく国が回っていたわけで,彼らからすれば日本人という外国人は無意味に細かいことを仕切りたがったり決めたがってすぐに怒り出すので理解不能だ…なんだこの神経質なやつらは!なんてことになるんだろう。これが文化の違いということか。

とはいえ,確かにインド人は今まで仕事で一緒になったどの外国人とも違うのは実感としてある。アメリカ人とも,フランス人とも,ドイツ人とも,イタリア人とも,韓国人とも,中国人とも,ベトナム人とも,違う。付き合いの深さや長さには差があったけれども,これらの国の人といっしょに仕事をした時には,カルチャーショックというほどの文化の違いを感じたことはほとんど無かった。細かいところで差異は感じても,基本的には日本人の感性がほぼそのまま通用した(と自分では思っている)し,向こうの考え方も違和感なく理解できたので,コミュニケーションにおけるフラストレーションというものはほとんど感じなかったんだけどねぇ。あらためて「インドは遠い国なんだなぁ」としみじみ感じる。

で,よくよく考えてみれば,まさに自分はそういう遠い国に外から土足で上がり込んでいるわけで,こっちから歩み寄るのがあるべき姿なんだろう。自分もできるだけ早くこの人の境地にまで達したいものだ。

 

さて本題。そんな不満を抱えつつオフィスを出て,階段を降りている最中にふと「ピーマンをさいの目に切ってトマトと一緒に酢と塩コショウで和えたら良い感じにヘルシーなサラダになるんじゃないか」とふと思い立って,そのままBig Bazaarに直行した。「サラダを作るぜ!」という意識で歩きまわっていると普段とは違うものが目について面白い。たとえばインド製の豆腐も見つけたし,酢もリンゴ酢が見つかった。さらに塩漬けオリーブの瓶詰めも見つけた。けっこうたっぷり入っているのに300円しない。

果物コーナーにいってみたら,恰幅のいいおじさんがスイカを手に持ってコンコン叩きながら真剣に品定めしている。興味深げに見ていたら,気づいたおじさんが嬉しそうに「叩いてあまり音がしないものは良く熟れているんだ。逆に叩いて音がハッキリ聞こえたら,まだ若いものだ」と解説してくれたので,どれどれと思って適当に選んだスイカを叩いてみたら,かなりハッキリと音が聞こえた。これがまだ熟していないやつということか。こりゃ面白い。思わずおじさんとその場で立ち話で話し込んでしまった。「インドはマンゴーが美味しいですねー。日本じゃなかなか食べられません」「そうか,季節が終わって残念だな。ビジネストリップ(出張)か。いつ帰るのかね。おお,君は住んでいるのか。じゃあ来年の5月ごろまでパパイヤとスイカをエンジョイしなさい。パパイヤも美味しいぞ」みたいな感じ。こういうぜんぜん仕事と関係ない部分ではすごく印象がいい人も多いんだけどねー,インド人は。おまけに今日はレジも比較的空いていたので会計があっさり終わった。こういったことのおかげで仕事中のモヤモヤはだいぶ薄れた(でもこの記事書いたせいでまた思い出してきた)。

 

さて,帰宅し,パンツ1枚になってさっそく取り掛かる。ピーマン2個をさいの目に切って,人参をグラインダー(?)で粗く切って,玉ねぎを薄切りにして,全部合わせて塩と胡椒で揉んでしばらく置く。水が出てきたら軽く絞って,トマトの角切りを入れ,買ってきた豆腐(木綿豆腐のような感じ)を崩して入れ,オリーブをごそっと入れて,オリーブオイルとリンゴ酢をふりかけてもう一回混ぜて完了。

 

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チーズみたいに見えるのが豆腐。意外なほど日本の木綿豆腐っぽい味と食感で,味噌汁に入れる具材の幅が広がった。良いみっけもんだった。

途中でぜんぜん味見しなかったけど,食ってみたら思いのほか美味しくできていた。こりゃええわ〜。こういう和物は1〜2日置いておくと味が馴染んでもっとおいしくなるので,しばらくこれを食べてみよう。20分足らずで出来たので我が定番メニューにする。別に誰かを家に招く予定はないけれど,もしインド人の来客があって何か振る舞うとしたら,これはチーズさえ使わない100%ベジだから,気兼ねなく出せる気がする。もうちょっと塩味と胡椒を効かせたほうがいいかも。