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マイソール

9月5日(月)はガネーシャ祭りのためお休みであり,つまり今週末は3連休なのだった。そこで,チェンナイに出張中に同じ職場(だが別部署)のYさんから「せっかくなんで今週日曜日にマイソールに行ってみませんか?」というお誘いのSMSが来た。バンガロールに住む日本人はほぼ100%まず最初に訪れる有名な観光地なのだ。これはありがたい申し出なので,参加させてもらうことにした。なお,Yさん以外にKさんという人も参加することになった。僕も含めて三人とも単身赴任組。

マイソールについてはWikipediaの記事なりググッて旅行会社のページを見れば大体どういう位置づけの場所か分かると思う。バンガロールからの移動手段はもっぱら車で,片道3時間ほど掛かる。車はYさんに会社経由で手配してもらった。

 

朝4時半起きで5時に出発。まだ真っ暗。そこからはちょっとだけ街中を動いた後は,もう延々とのどかな道をひたすら西南西に向かって走っていく。ドライバーのクリシュナさんは極めつけに運転が荒く,隙間があればたとえ相手がバスやトラックでもクラクションを鳴らしながらどんどん加速して割り込んでいくし,相手が道を譲らなかったら,たとえ譲る場所がないといった不可抗力でもピッタリ後ろについてライトをカチカチ点滅させてガンガン煽る。日本でやったらすぐ喧嘩に発展しそうなもんだけど,インドではこれでもそうそう喧嘩にはならない。助手席に座った僕は正直言って気が気じゃなかった。あとでYさんに聞いたところでは,会社の中でもクリシュナさんは運転が荒いことで有名らしい。ただ,荒いだけあってスピードはピカイチに速い。

 

途中,6時過ぎぐらいに道端の喫茶店で朝ごはんを食べる。まだ微妙に薄暗い状態だったけれど,こんな時間でももう店は開いていて,厨房のほうであれこれ仕込んでいた。給仕のオッサンがコップに水を注いでくれたけれど,コップを並べたところにアルミの水差しから無造作にドボドボと注ぐだけなのでかなり飛び散る。

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見れますかね。結構な飛び散り具合。

 

 「まあ,日本人は飲まないほうがいいと思いますね…」とYさんが言う。そうだろうな。僕も飲まないことにした。

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そうこうするうちに頼んだものがやってきた。なんだかよく分からない名前のものだったけれど,ベジタリアンなので安全だろうと思って選んだのだ。食べてみたら美味しかった。右側にある黄色いソースを左側のプリンのようなものにかけて食べる。プリンのようなといったけれど,実際には豆だかなんだかを煮固めたようなものだった。右側のソースは,これこそ豆カレーかと思ったらなんとおかゆのようなものだった。大して辛くないので朝ごはんにはちょうどいい。YさんとKさんはさらにイドゥリという蒸しパンを頼んでいた。こちらもあっさりとした軽い食感。これに3人ともコーヒーを付けて,それで一人あたり200ルピー弱。

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食べ終わったころにはだいぶ明るくなっていた。トイレを済ませてまた出発。2時間ぐらい延々と走り続ける。以下,ちょっとだけ道中の写真。

 

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マイソールの中に入り込むとだんだん歴史的背景のある建物が増えてくる。これは要塞だったかな。

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王族の宮殿があった場所。現物は残っているのかいないのか,よく分からなかった。

 

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これはヒンドゥー教の寺院…だったかも。

 

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うーん,なんだったかなこれ。思い出せぬ。

 

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小道にはこうやって綺麗な花が咲いているところもあった。

 

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これはイスラム教のモスク。ドライバーのクリシュナさんは「イスラム教徒は悪いやつらだ。あいつらがいる所はどこでも人が死ぬ。新聞を見れば毎日どこかで爆弾が爆発しているだろう。あれはみんなイスラム教徒のせいだ」と延々と力説してくる。議論するのも面倒だし,相手もそこまで複雑な英語は分からないので,ふんふんと聞き流してスルーした。

 

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道端で搾乳中のおじさん。搾りたてで新鮮といえるかもしれないけど,その牛はそこらのゴミを漁って食っているわけで,なんとなくそんな牛から搾った牛乳は飲みたくないなぁと思った。

 

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そうこうしているうちに最初の目的地に到着。まずはキリスト教の教会。どういう歴史的背景があるのかぜんぜん勉強していないけれど,この教会は近辺では有名な場所らしく,この界隈のクリスチャンが結集するようだ。

 

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入り口の大きさが分かるだろうか。ただ,見ての通り中は思いっきり工事中で風情もなにもあったもんじゃなかった。

 

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宗教的・歴史的な建物にはありがちなパターンで,ここも建物の中では写真撮影は禁止になっていた。中に入るとまず工事していて,そこを抜けると地下に通じる階段があり,そこではサリーを着たおばさん・おばあさんたちが一心に祈っていた。ご神体はなんだろうと思って覗き込むと,トランプぐらいの大きさの木(?)の板がたくさん入った器のようなものが置いてあった。「アレなんですか?」と訊くのも憚られたので,正体はついに分からずじまい。その礼拝所の横手には地上に通じる抜け道があって,「壁に落書きをしないように」と注意書きの看板が何枚も立ててあったけれど,その抜け道の壁一面が落書きだらけだった。英語はほとんど無くてだいたいカンナダ語っぽかったので意味は分からないけれど,「!!!!」なんて書き込みがあったり,相合傘っぽいものもあったので,まあ本当に落書きなんだろう。

地上に抜け出たら教会の裏手側で,ちょうど上の方で写真を撮った場所の裏側にあたる場所に出た。そこは意外に開けた場所で,建物もあれば大きめの集会用のテントも張られていて,賛美歌を歌っている人たちがたくさん集っていた。

 

そこからさらに車で山に入り,30分ぐらい山道を登り続けると,猿の神様を祀った寺院が密集しているところに来た。クリシュナさんに訊くと「モンキーゴッド!ハヌマン!」と言う。ゲームによく出てくるハヌマーンのことだろう。クリシュナさんは「私は駐車場で待っているから,そこの道を真っ直ぐ歩いていきなさい。途中で物乞いとか露天とかいっぱい出てくるけど,ぜんぶ無視しなさい」と言うので,YさんKさんと一緒に突撃してみた。まず最初に現れるのが道の入口に現れるこの像。

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なんか安っぽい。Kさんとも意見が一致したけれど,歴史の重みをぜんぜん感じられない。これはハヌマーンではなくて,その敵役の魔王だとクリシュナさんは言っていた気がする。

 

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これがメインの寺院。この他にも2つ・3つぐらい小さめの寺院がある。よく見ると(本物の)猿が飛び回っている。

 

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さて,この寺院の近くに履物を預ける場所があって,そこで靴を脱いでから寺院に向かわなくてはいけない。これがけっこう嫌だった。なにしろ地面はアスファルトがデコボコしていて痛いし,雨水がところどころで水たまりになっているし,牛やら犬やらなんやらの糞もところどころに落ちているしで,不潔極まりない。勘弁してほしい。けど,ここまで来て寺院に入らないのもあんまりなので,3人で「入りますか…」と観念して靴を預ける。僕とKさんはサンダル履きだったのでまだ良かったけど,Yさんは普通の靴+靴下だったのでいっそう嫌だったろう。ああ,参拝が終わったら汚い足のまま靴下履くのかと。

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寺院の敷地内から入り口に向かう。一見乾いているように見えるけれど,結構ぬめっているし,謎の粘着物がそこかしこにある。前の人はKさんです。観念してベタ足になっているけれど,途中まではみんなつま先立ちだった。

 

中はやはり写真撮影不可。インド人も撮影している人は誰もいない。ここは自重することにした。行列に並んで進むと,みんなロウソクの煙を体に向かって手でパタパタかけたり,赤や黄色の粉を指にとって額につけている。よくインド人がやる,額に赤い点を付けているアレだ。自分もやってみた。

この寺院を抜けた後も別の小さい寺院に足を運んでみた。入り口に坊さんがいて黄色いお守りの紐みたいなものを右手首に締めてくれたので,お布施を入れようと思って,2ルピー硬貨や10ルピーが散らばっているところに20ルピーを置いたら,なにやらムニャムニャ言っている。てっきり「ありがとう」かと思って素通りしようとしたら,もう少し大きな声で「100ルピー」と言ってきた。こんにゃろう。

以下,ちょろちょろ写真置きます。

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なんというか,インド人に対して本当に失礼なのを承知で感想を述べると,いちいち安っぽくて有り難みも歴史の重みもまったく感じられない。上の方のコブラとかヒゲおっさんの彫像なんて,中学校の文化祭の出し物でももうちょっとマシなものが見れる気がする。なんなんだろう,これは。それはそれとして,子供の猿を間近に見てちょっと感動した。

 

というわけで適当なところで切り上げて再び移動。途中で展望台みたいな場所からマイソールの町並みを一望できた。良い眺めだったけど,特別眼を見張るものはなかったので省略。

 

山を下って行くと,途中で牛の彫像を祀っている場所があった。「シヴァ神の乗り物のナンディだ」とクリシュナさんは言っていたけれど,その場にいた人に聞いてみたら「ヴィシュヌ神のペットのうんにゃらかんにゃらだ」みたいなことを言っていて,本当のところは良く分からない。

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みんなパシャパシャ写真撮っていたので僕も撮ったけど,今こうやって見ると写真撮るなっていう注意書きがありますな。

 

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これは牛の金玉。赤いのは額に付ける例の粉だろう。っていうかこの金玉必要?

 

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なぜか階段の所に虎のぬいぐるみが置いてある。遠目には意外と生々しく見えたので一瞬ドキっとした。頭にかぶりものをしている理由は不明。何の意味があるんだろうと思って英語の分かりそうな若者に訊いてみると「ああいうのが置いてあると一緒に写真撮りたがる人がいるから置いてあるんだろう。アホだよな(笑)」と解説してくれた。実際に,しばらく観察してたら,子供とおばあちゃんらしい二人組が,被り物を外して虎と一緒に自撮りしていた。虎の顔は妙に間抜けでした。

 

山を下り終えると,いよいよ今回の一番の目玉,マイソールパレスにやってきた。19世紀後半〜20世紀初頭ぐらいのマハラジャが立てた宮殿かつ住まいで,ここで日常生活をしたり,国内外の来賓をもてなしたり,重要な国策を議論していたという。

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凄まじく広い場所だった。イギリス植民地だったとはいえ,当時の王族の権勢が伺える。例によって履物を預けて建物の中に突入。オーディオガイドも貸してくれて,日本語の案内が聴けた。撮影禁止だったけれど,ステンドグラスで飾った大広間や,大理石の細工を施した大会議室なんてものもあって,今回の旅ではいちばん面白かった。2階の大広間には,10mちかくありそうな大天井の大広間があって,その天井にヒンドゥー教の世界を表した巨大な天井画が描かれていて,ボーっといつまでも見ていられる気がした。

 

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ちょっと分かりづらいけど,外壁いちめんに電球が設置されている。夜になるとライトアップしてとても綺麗らしい。残念ながら今回は日帰り旅行なので見るのは断念。

 

ここで12時半過ぎぐらい。だいぶ腹が減ってきていて,正直なところ頭がボーッとしていた。近くのホテルのレストランで昼食を食べてから,最後にYさんが特に見たいという有名な庭園+ダムに向かう。

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ダムと一体化した公園地帯なので,水はとても豊富で,潤沢に振りまかれている。

 

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ダム。100年近く前に建造されたものだけれど,当時の水準としては極めて完成度が高いものだったそうで,近隣の地域から技術者達が頻繁に見学に訪れて参考にしたという。確かにスケールの大きい頑丈そうな建造物だけれど,間近でよく観察すると,積んである石の大きさや形が不揃いで,インド的な雑な感じは否めない。とはいえ,今なお現役のダムで,これがカルナータカ州の水瓶にもなっている。実際に地図上の位置を見てみると,途方も無く広大な湖をせき止めていることがよく分かる。ダムの上に昇ってみたかったけれど,昇るための階段が通行禁止になっていて残念。黒部ダムのようなことはさせてくれないらしい。

 

これですべて終了。主だったところはすべて回り終えて3時過ぎ。あとは一路バンガロールに向かってひたすら走った。例によってクリシュナさんの運転が荒すぎて事あるごとに背筋の筋肉がキューっと緊張した。6時過ぎぐらいにBrigade Gatewayに無事到着して,あとは3人でDistrict 6で反省会。以下,まとめ。

  • マイソールは俗化しすぎているきらいがある。実際,Yさん曰くハンピーのほうは世界遺産に登録されているだけあって遥かに見応えがあったという。
  • とにかく汚い。ゴミや糞の多さという不衛生さに加えて,排気ガスやらなんやらの人工的な汚さまで混ざってくる。そのせいで落ち着いてじっくり楽しめない
  • 王宮はなかなか見応えがあった。王宮の中は清潔だし,外の広場もたまに牛糞らしきものが転がっていることを除けば乾いていて清潔に感じる。マイソールはやはりここがベストだろう。ここと食事で大体OKだと思う。
  • 物乞いが多い。しかもしつこい。寄付といっても50ルピーもあげれば充分すぎるので,そんなの別にいくらでもあげられるんだけれど,なんていうか,ただストレートに手を差し出して「くれ」と言ってくるので可愛げがない。なにか芸の一つでも披露して「おぉ!」っという気分にさせてくれたら,対価として気持ちよく100ルピーでも200ルピーでも差し上げるのに。

帰ってきたらとりあえず足を丹念に洗って歯を磨いて寝た。一晩明けて今日はガネーシャ祭りだから外に出たい気がするんだけど,正直まだ疲れていて外に出る気になれない。どうしたものかと悩む12:42。

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