投資をしませんかとインドの銀行から声をかけられた話

こないだ保養休暇で帰ってから,毎日の食事の内容を記録していないことに気づいた。しくじったな。しかしもはや昨日何食ったかも思い出せないほどボケているので,いまさら思い出して追記することもできない。そういうわけでもうこのまま行きます。

 

さて,面白いことがあったので,今後インドや諸外国に赴任する・今すでにしている人の参考になるかもと思い,ひとつ書いてみる。

 

昨日金曜日,職場のインド人たちもほとんど帰宅して,こちらもそろそろ帰るかというムードになってきたとき,電話が掛かってきた。出てみると僕のインドでの口座を管理している銀行の「Customer Relation部門」と名乗る部署からの人で,「近いうちに,預金を日本に送金する計画はありますか?」と訊いてきたので「いや,その予定はない」と答えると,「では,ひとつ運用してみませんか?」と話を持ちかけてきた。なるほど,そう来たか。

ちょっと思案したが,もともとお金を使うあてもないので,生活にインパクトがない範囲で投資してみるのも手だなと思った。念のためやってもよいかどうかボスに訊いてみると,別に会社として禁止していることはなく,日本の場合と同様で個人の自己責任の範疇であるという。なお,以前こちらに赴任していたMさんという人も,こちらに滞在中にやっていたという実績がある。ただし,Mさんは満期になるまえに帰国になってしまい,まあ日本に帰ってから手続きすればいいかと考えていたら,ビザが切れたその瞬間にインドの口座が凍結されてしまって日本に送金できなくなり,解除するのにずいぶん苦労したという。

そういう苦労談を踏まえつつ,明日つまり今日の昼12:30にエージェントと会ってみることにした。場所として,職場のビルの1階にある来訪者用の待合エリアを指定した。例によって交通事情で10分ぐらい遅れたものの,ほぼ定刻通りにエージェントは現れた。挨拶もそこそこに,さっそく詳しい話に移る。ざっくり説明を聞いた後で質疑応答。以下,Qは僕,Aがエージェントです。

 

Q:いつ帰国の辞令が出るか分からない。短期間で満期になる商品はあるか?

A:ある。そういう場合には半年満期の商品をお勧めする。満期を迎えたあとはいつでも現金化できるし,そのまま継続も可能。

 

Q:満期になる前に現金化したらどうなる?

A:この場合は0.5〜1%の手数料をいただく。

 

Q:たとえば100ルピーの貯蓄があるとして,そのうち50ルピーを投資を振り分けたとする。今後,また貯金が貯まっていくごとに,追加で10ルピーなり20ルピーなりを投資に振り分けていくことは可能か?

A:もちろん。ウェブからいつでも申請できる。別商品への配分変更もいつでもOK。

 

Q:ゲインが生じた場合,それを会社に申告して税務処理をしてもらう必要があるのだが,証明書等は発行してくれるか?

A:ウェブですぐに申請可能であるし,電話をくれれば私も対応する。

 

Q:運用成績や状況はオンラインで確認できる?

A:システムメンテナンスのタイミングを除けば24時間いつでも見れる。

 

…というわけで,日本ではこういう証券での投資はやったことないけれど,こうやって聞いていると確定拠出年金と基本的に同じだ。俄然やる気が出てくる。

 

次に,商品の説明をざっくりと聞く。「滞在期間の制約もあるので,リターンは低くても可能な限り安全なものにしましょう」ということで,インド政府発行の国債に絡むものを見せてくれた。当然ながら100%元本保証ではないけれど,それなりに財政に問題を抱えているとはいえ日本よりは健全なインド政府がいきなり潰れるような気遣いはないし,やや古いデータだけれどBRICsの中ではいちばん堅調だという話もあるので,ひとつこれでやってみることにした。念のため期待リターンを訊くといくつかデータを見せてくれて,どれも9%ぐらいだった。まじか。日本だといちばんハイリスク・ハイリターンな外国株式でさえ6.2%だというのに,インド最高。さすが,普通預金でも3%超の利率だけのことはあるな。ますますやる気が高まる。ついでにいちばんアグレッシブなのも見せてもらおうと思ったけれど,つい魔が差したら嫌なので止めた。

 

その後,いろんな書類を書いていく。ここは基本的にPANカード(インドでの納税者番号を書いたカード)とパスポート写真があれば良い。パスポート写真はだいぶ前に撮影したやつがあったので助かった。それにしても,銀行がらみだと山のように書類を書かされるのは日本もインドも同じだな。お金が絡むと厳重で慎重なのはどこも同じか。

 

ひとつ引っかかったポイントがあって,日本にも納税している場合,納税者番号(TIN:Tax Identification Number)を記入するように求められた。当然ながら年金のたぐいは今でも日本に納税しているので,記入要ということになる。しかし,納税者番号なんて知らない。ここは後で確認するということにしてその場は切り上げた。エージェントとがっちり握手を交わし,解散。気がついたら14:00を過ぎていた。

 

その後,ビールを呑みながら一連の出来事を振り返った。納税者番号については,たぶん今ならマイナンバーということになるんだろう。しかし,これは非居住者の場合は無効になっているし,そもそも他人に開示するわけにはいかない。このへんの事情を伝えて,「どうすれば良い?」と訊いてみることにした。これでどうしても必要だというのなら,ちょっと残念だけどこの話はご破算にしてしまえばいい。

 

さて,今後どうなるだろうか。