久しぶりにインド映画

家族が合流してからは、子供がまだ右も左も分からない幼児だということもあって、インド映画鑑賞会からはすっかりごぶさただったのだが、相棒と子供が3月中旬まで日本に帰国しているということもあって、ひさびさにインド映画鑑賞会に出かけた。

 

今回の映画はなんとも要約しづらい内容で、簡単に箇条書きにすると:

  • 泥棒を生業とするカーストジャーティ)の青年二人と、その地域の没落貴族の老人が主人公。
  • 泥棒カーストという設定ではあるものの、泥棒らしい行動を起こすのは青年二人のうちの片一方だけで、しかも最序盤中の序盤に金庫を開けるという行動を披露するところだけ。その後は行動・ストーリーともに泥棒要素ゼロ。
  • その青年二人が、それぞれカーストや職業の違う二人のヒロインに惚れてラブストーリーが始まる。
  • ずっとコメディ調で低カーストの人々や地方の庶民の生活が描写される。インド風寅さんのようなイメージ。
  • そんな具合で細切れに繰り出される枝葉のエピソードの合間に青年達とヒロインたちのラブコメロマンスが出てくるので、てっきり二人の青年がカーストの違いを乗り越えてそれぞれのヒロインと結ばれてハッピーエンドなストーリーかと思いきや、ラブストーリーは生煮えな状態のまま、ストーリーの最後の30分で没落貴族の老人が悪党に惨殺されて青年二人が犯人相手に壮絶な復讐劇を繰り広げ、最後はその犯人を焼き殺すシーンで終了という、フロム・ダスク・ティル・ドーンもびっくりの急転直下な展開。最後のほうはヒロインたちは完全に亜空間送り。

こうやって書き出してみると改めて凄いぶっ飛んでる話だと思う。最後の30分は、文章にすると頭がおかしいだけの笑いどころ満載シーンに思えるが、実際には老人が高い樹から首吊り状態で晒し者にされていて、それを周辺の村人たちや主人公たちが発見して驚愕し悲嘆にくれるシーンとして描写されており、首吊り状態の老人の死体が延々と映し出されたり(一見して人形とは分かるのだが、生々しくシワが寄っていたり妙に土気色に黒ずんでいたり、微妙に死後硬直しているような薄気味悪いポーズをとっていてキモい。しかも暗示とかほのめかしとかじゃなくてストレートにずっと映す)、主人公たちの泣き叫ぶ声が聞こえないスローモーション演出が異様なほど真に迫っていたりして、けっこう胸クソが悪くなる。

青年のうちの一人は喧嘩にはめっぽう弱く、激情に駆られて悪党のところに一人で突撃して全員に袋叩きにされてつまみ出されるのだが、もう一人のほうは作中最強人物で、他の登場人物たちより頭一つ背が高く筋肉質な巨漢(しかも踊りが上手い)なうえに格闘技らしいものを駆使して異様に強く、結局こいつが悪党たちを一人で壊滅させて黒幕(悪党たちのボス)を凄惨に痛めつけ、最後は青年たち二人で老人を火葬するやぐらの下にその黒幕を猿ぐつわを噛ませた状態で縛り上げて、老人の火葬と同時に汚物は消毒だ〜!一石二鳥だぜ!という展開になり、燃え盛るやぐらを背後にその青年二人が肩を並べて立ち去るシーンで画面が止まり唐突にスタッフロールが流れて終了。この30分程度の一連の流れの中ではジョークやお笑いシーンゼロ。

映画が終わったあと、主催者のARKさんが映画の背景にある現実をきめ細かく解説してくれたおかげで、映画のテーマや監督の意図などはいちおう理解できたのだが、そうは言ってもたぶん今まで観てきたインド映画の中ではホームラン級にぶっ飛んでるのは間違いない。っていうか最後の30分は絶対にテーマ関係ないと思った。

 

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マンションに着いたら夜8時ごろ。一杯引っ掛けようと思ってDistrict 6に立ち寄ったら閉まっていた。少なくともここ数日、こうやって閉まっていることは知っていたのだが、土曜のこの時間でも閉まっているとなると、本格的に閉店なんだろうか。試みに窓から店の奥を覗き込んでみたら、いちおう明かりは点いているのだが人の姿が一切見えない。そして、入口付近にビールの醸造タンクが置いてあるのが見えた。あれはたぶんガラスに反射しているとかそういうのではなくて実物だと思う。ということは、本格的に店仕舞いでもするんだろうか。リニューアルとかであってほしいと切実に思う。

 

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おととい14日にカシミール地方でイスラム過激派組織によるテロ攻撃があり、現地で国境警備をしている治安部隊40名強が死亡したという事件があった。日本でも報道された事件である。その犠牲者を悼んでこんな張り紙がエレベーターに貼ってあった。インドは、少なくとも日本企業の大半がオフィスを構えている場所は平和そのものなのだが、行くところに行けばこういうことが起きているのだ。