シュラバナベラゴラ、ベルール

久しぶりにインド国内旅行ということで、シュラバナベラゴラ(Shravanabelagola)とベルール(Belur)という場所に行ってきた。後者はヒンドゥー教寺院の遺跡で有名だが、今回の最大の目的は前者で、ジャイナ教の聖地の一つなのだ。

距離的にも方向的にもマイソールに行くのと似た感じである。マイソールがバンガロールからやや南下するのに対して、こちらはひたすら西に行く感じだろうか。朝5:30のまだ真っ暗なうちに出発して、途中でマサラドーサを食べたりチャイを飲んだりしつつ、9時前頃に目的地に到着した。到着するまでの道中については割愛。まあ、ヤシの木の林があったり、広々とした草原っぽいような風景が広がっていたりという具合で、マイソールに行く時の道中と変わらない。

 

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まずシュラバナベラゴラだが、手配しておいたガイドさんとともに靴を脱いで預けて入り口に向かうと、こんな階段が現れた。600段以上あるそうで、その段数もなかなかのものだが、段差がバラバラなのが地味に面倒くさい。突然段差が大きくなったりするもんだから機械的に淡々と登れず、常に足元を気にする感じである。いちおう頑張ってジョギングしてる成果なのか僕は対して疲れることもなく上まで到着できたが、ガイドさんは要所要所で息を切らせて休憩が必要だった。ガイドなのに。

 

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階段の途中から振り返るとこんな風景が見える。なかなかのものである。あと、雲ひとつない陽気で超暑い。この写真を撮った時点ではまだ大丈夫だったが、昼過ぎには余裕で30度を超えて顔に触れる空気が熱かった。

 

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そして山の頂点で目当てのものが登場。ジャイナ教の偉い人の石像で、高さは17m以上もあり、一枚岩から削り出して仕上げたものだという。確かに、よく見ると継ぎ目のようなものが一切無い。裸なのは、ジャイナ教には物を持たず服も着ないという教義があるからだそうだ。今風に言えば、行き着くところまで行っちゃったミニマリストということだろうか。てっきりこの人がジャイナ教の開祖かと思ったらそうではないらしく、ガイドさんいわく「He is number 2」とのことだった。いまいち要領を得ないのだが、いわゆる副社長とかそういうような二番手のことかとその時は解釈した。でもそんな二番手が一番目立っているってのは変だなぁと思ってあとでスマホで調べたら、二番手ではなくて、ジャイナ教における23人の聖人のうちの二人目ということらしい。ただ、この人が具体的にどう偉かったのかという説明はなかなか見つけられなかった。

 

ガイドさんの案内を聞きつつ巡っていたら、なんだかんだで1時間半ぐらい掛かった。ここは朝からいい運動になるし風景は気持ち良いしすっぽんぽんの石像は雄大だし世界的にも有名だしで、充分に堪能できた。僕はチップをあげたりするのが煩わしいのでガイドを付けることには消極的なのだが、それなりにちゃんと要所要所のツボを押さえた説明をしてくれるので、ちょっと見直した。今後は積極的に付けていくことにしよう。といってもこんなふうにインド国内を回る旅行を今後どれだけするか分からないが。

 

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登る時は割と楽々でなんともなかったのだが、真の試練は降りる時にやってきた。登る時はそれほど気にならなかった高い段差が、降りるときにはかなり堪える。なにしろ裸足なので足の裏にズンズン刺激がくるのだ。僕はまだ大丈夫だが、膝を悪くしているような人にとっては地獄だろう。地上に戻った時点で膝が笑っていた。

 

ガイドさんにチップを渡してお礼をし、シュラバナベラゴラを去って、次は車で30分近く走ったところにあるベルールに向かった。そこにはヴィシュヌ神シヴァ神の神殿があるのだ。まずはヴィシュヌ神の神殿に向かった。

 

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これもまたなかなか雄大な風景である。ガイドさんによれば、入口近くにあるこの金の塔は、この神殿が今もまだ現役で使われていることを示しているらしい。実際、ここで結婚式をすることもあるんだそうだ。

 

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塔を過ぎたところでもう一枚。空が鮮やかに青いので清々しく見えるが猛烈に暑い。靴を脱いで裸足になったらちょっとした荒行である。靴下はOKらしいので、靴下を履いてくることをオススメしたい。

 

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うしししし。

 

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神殿の壁面にはこういうきめ細かい像が徹底的に彫り込まれている。どれも一つの石から削り出したもので、この写真に収まっている人物から神から動物から装飾品まで、ぜんぶまとめて一つの石で出来ている。この神殿が出来たのは西暦1100年頃のことらしいが、こういう細かいものを丁寧に作ることが、当時のインド人にはできたのだ。

 

それなりに写真を撮ったのだが、全部紹介するのも面倒だしキリがないので、特に印象に残ったものだけ記すことにする。なお、ヴィシュヌ神の神殿とシヴァ神の神殿はそれぞれ車で20分ぐらい走る必要があるほど離れているのだが、どっちも同じような作りなので、順不同でまとめて書くことにする。

 

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ポニーテールのダンサー。他にも無数のこういう踊り子の彫像があったのだが、このポニテのやつが唯一ちょっと可愛いと思った。ポニテはいいね。ポニテこそ正義。なお、ガイド曰くこの神殿の壁面には何百種類ものヘアスタイルの女性の石像が彫られており、「世界で一番最初にすべての髪型を発明したのがここなんだ」というようなことを言っていたが、どう考えても盛りすぎだと思った。

 

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神殿の中はひんやりとしていて気持ち良い。この柱もひとつひとつ意匠が違い、動物や神々の彫刻がびっしりと施されていたり、凝った幾何学模様が刻み込まれていたり、指先で弾くと金属的な音をたてるものがあったりする。

 

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クリシュナのエピソードの一つで、敵が降らせてきた大雨で農民や動物たちに被害が及んだので、山を片手で持ち上げて傘代わりにしたとかいうような話をモチーフにした彫刻。古代の神話はこういう突拍子もないエピソードが多いですな。

 

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神殿の天井にドームがあって、その表面に細かい彫刻が彫り込まれ、その真中にいわゆるシヴァリンガが突き出ていた。このリンガの中に、シヴァ神だけでなくヴィシュヌ神ブラフマー神を表すシンボルも彫り込まれているんだそうだが、暗くて良く見えなかった。

あと、ガイド曰くインドの三柱神は「GOD」で表せるのだという。ブラフマー神は創造神なのでGenerator、ヴィシュヌ神は維持を司るのでOperator、シヴァ神は破壊神なのでDestroyerで、頭文字を取るとGODなんだそうだ。後付けくせ〜と思ったが、それはそれとして面白い。

 

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これはラーマーヤナという神話に出てくる悪役ラーヴァナ魔王の彫刻である。剣を鞘から抜こうとしている部分など作りが細かい。周辺の人物たちもみんな何らかの神様だったり魔族だったりということらしいが、詳細は忘れた。

 

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よく見るとエロいあんなことやこんなことをやっている。カーマスートラをモチーフにしたものだそうだが、この横の方は神話の一シーンだったり、戦争の光景を描いた彫刻だったりするので、そこに突然エロを差し挟んでくるセンスが良く分からん。

 

一通り観終わったら午後1時を回った。これで終了で、あとは途中で昼食を食べつつ一気にバンガロールまで戻った。一気にと言ってもベルールは結構遠く、自宅に着いたらもう夕方6時半だった。とりあえずシャワーを浴びて足の裏を洗い、インスタントラーメンを食べた。まだ足が微妙に笑っている。もう寝る。