シャワーの件

PaytmのKYCがついに切れた。そのことは想定の範囲内だったのだが、いまウォレットの中に400ルピーほど残っていて、それすら使えなくなったには驚いた。単純にウォレットの残額を確認するとちゃんと残っているのだが、いざ使おうとすると「いま残額がないのでチャージしなさい」と言ってくる。で、チャージしようとすると「KYCを済ませろ」というのである。しからばこれを機にPaytmとは縁を切るかと思って残額を銀行口座に移そうとしたら、やはり「KYCを済ませろ」と言われるのである(こっちのほうは予想通り)。しかし、いわゆる対面型のFull KYCではない、簡易KYCのやり方が分からないのである。去年はPaytmの画面上に簡易KYCをやるメニューが出てきたような気がするのだが。今すぐに困るわけでもないが、癪に障る。

 


 

ひさびさに728会に参加。関西の人々のノリと雰囲気が実に良い。あと、マキケソが集合写真の撮影時にニコニコポンという謎の掛け声を発していた。「ブログのネタにしてくださいよ」とニヤニヤした顔で言われたので「眠いからもう寝ます」と一蹴したのだが、やはり書かざるを得ない。

 


 

昨晩の超展開の背景を簡単にまとめると次のようになる。

 

数週間前、マンション賃貸契約の更新時期が来ているので、今年もインドにいるか・いるとしたらこのまま同じ部屋に住み続けるかを、会社の総務担当者から訊かれた。そういう時期なのだ。

僕はおそらくあと1年は確実にバンガロールにいるであろうから、「住み続けるつもりだが、オーナーにいくつかお願いしたいことがある」、以下の内容を回答した。

  • 頭上の固定シャワーを、ホース型で自由に動かせるタイプに替えてほしい。
  • ギザ(湯沸かしタンク)の容量を拡大してほしい。今のものはすぐに水になってしまうので、ゆっくり浴びていられない。
  • キッチンのコンロまわりの地盤沈下を修繕してほしい。
  • 冷凍庫ボックスを設置してほしい。冷蔵庫備え付けの冷凍庫部分では小さすぎる。

これに対し、総務の人がオーナーと交渉し、一昨日つまり3月26日に「オーナーが視察のために人を寄越すから、今日お前のワイフが家にいるかどうか教えてほしい」ということになった。あいにく相棒は夕方近くまで外出しているし、僕も当然勤務中なので家は空っぽである。そのことを伝え「明日(27日)の16:00以降ならワイフは家にいるし、僕もちょっとだけ会社を抜け出して立ち会える。それで調整してほしい」とお願いした。総務担当者もOKと請け負ってくれ「調整がついたら予定時刻を連絡する」となった。ここまでが背景。

 

で、しかし、その後19:00になっても誰も来ない。まあ、もともと連絡を貰えていないし、貰っていたとしても16:00に来るなんてまったく期待していなかったので、そこは気にならない。もう日も落ちて暗いし、さすがに今から誰も来やしないだろうと思って、家族みんなでだらしない格好でウダウダしていたのだが、20:00ごろに突然ドアチャイムが鳴って家族みんなでビクっとした。出てみると、作業ツナギを来た青年が「遅くなり申し訳ありませんでした」とにこやかに笑っていた。身長は僕よりやや低いのだが、肩幅が僕の1.5倍ぐらいあり、腕も上腕から前腕までちょうど僕の太ももとスネぐらいの太さがあり、「豆タンク」としか形容できないガタイをしていた。初めは何なのか理解できずポカンとしてしまったが、青年が荷物の中からシャワー部品を出してきたのでやっと理解できた。そうか、来たのかチミは、連絡もなしに、でもチミはただ仕事として来ただけであって、やっぱり悪いのはオーナーのほうなんだろうな、なんてことをジュクジュクと考えながらとりあえず彼を家に招き入れた。

オッサンが読みそうな本や雑誌に「“根回し”なんてことをするのは日本人だけ、日本以外の国では根回しなんてまずしない」というような言説を目にすることがたまにある。「こんなにすぐに謝るのは日本人だけだ。欧米人はまず謝らない」みたいな話と同じやつだ。僕はこの手の話にはたいてい同意しないのだが、少なくとも根回しの件は、インド人については正しいかもと思った。「根回しという考えが無い」というのではなく、「根回しをしても無意味・無駄だ」という意味で。

 

そこから先は、夜8時過ぎにおもむろに風呂場の壁にドリルで大音量を轟かせて穴を開けたり、工具箱をひっくり返して部品を止めるネジを探し始めたり(部品と一緒にセットになってないのかと問い詰めたい)、部品を挟むようにしてネジを壁の穴に挿してからドライバーを取り出したので、てっきりそのドライバーでネジを締め付けて固定するのかと思ったら、なんとそのドライバーをネジの頭に突き立てたあとにそのドライバーをハンマーでガンガン叩いて、釘のように打ち付けてしまった。一事が万事こんな調子の異次元の仕事ぶりで、立ち会っている間ずっと顔にニヤニヤ笑いが浮かびっぱなしだった。付け焼き刃もいいところだと思うが、彼は淀みなく作業を進め、最終的にはシャワー取り付けがきっちり完了した。これには素直に驚嘆した。そうやって工事完了したシャワーがこれである。

 

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その後、去り際に「ギザの件も見たい。ひとまず写真を撮らせてほしい」というのでOKしたら、すぐに風呂場の天井板をガサガサと外して、天井裏にスマホを差し入れて写真を数枚撮っていた。「これを見せてオーナーに買うべきモデルを判断してもらいます」とのことで、それはそれで良いのだが、結局外した天井板を付けずに帰っていってしまった。気付かなかった僕もうっかりしていた。そこで頑張って復旧させたのが前回の記事の写真である。相棒が日本から持ってきていた養生テープが思わぬところで役立った。

 

翌朝さっそくシャワーを試してみたが、確かに良い。隅々まで湯が届く。いちいちシャワーに対して体を自分から動かさなくても済むのだ。こんな、日本に住んでいたらまったく何とも思わないことがこんなに新しく感じられるとは。

 

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おまけ。奥の方に見える不発弾みたいなのがギザタンクである。豆タンク曰く15リットルらしい。Bisleriの20リットルボトルより少ないのだ。切ない。