チャリティイベント,インド映画鑑賞

バンガロールには日本人が運営しているMuse CreationというNGOがある。その組織が9月17日にThe Chancery Pavilionというホテルを会場にしてチャリティイベントを開くというご案内をいただいたので,面白そうだからひさびさにOlaを利用して行ってみた。

 

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12時過ぎに家を出発して,予定では30分ぐらいで到着するはずだったのに,意外に道が混んでいてまる1時間ぐらい掛かってしまった。会場入りすると,インド人のバンドがロックともブルースとも思える歌を渋くかっこよく歌っていた。これをAORと呼ぶんだろうか。陶然としてしばらく立ち聴きする。プールサイドに即席のステージと観客席を設けているのだけれど,インド人や日本人の一般人に混じって,キリスト教の修道女っぽい服装をした人も数人座って鑑賞していた。

バザーというだけあって,室内では日本人やインド人の人がそれぞれ手作りの石鹸であるとか木彫りのオモチャであるとか,そういうものを売っていた。面白そうなものもいろいろあったので移動の邪魔にならない程度に2500ルピーぶんぐらいあれこれ買ってみた。休憩室みたいなところには同じ会社のNさんとKさんがいたので挨拶をしつつしばらく立ち話。

なお,The Chancery Pavilionというホテルは僕が10年ほど前に初めてインド関係の仕事をした時にも泊まったホテルだ。そのときにちょっと関わって以来,長らくインドとは無縁だったけれど,今回あらためて訪れてみたら佇まいも内装もぜんぜん変わっていないので,懐かしくて写真撮るのも忘れて感激してしまった。当時は日本人出張者が泊まっても安全な5つ星ホテルというと,こことあと1〜2件ぐらいしかなかったのだ。いまは世界的なブランドのホテルがそこかしこにある。10年も経てばやっぱりいろいろ変わるものだ。

そうこうしているうちに3時ぐらいになってきたので,次の目的地に行く。今日の本来の目的は,以前も催された映画鑑賞会に参加することなのだ。場所は例によってThe Chanceryというトヨタプロデュースのホテルで,The Chancery Pavilionからも1〜2km程度と歩いていけるほど近いので,徒歩で現地に向かう。

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栄えている場所だけあって,歩道も他の場所とは比較にならないほどきれいに舗装されている。こういう街並みなら,5kmぐらいでも平気で歩けるだろう。

 

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しかし,気を許すと街路樹の根本はこんなことになっている。

 

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「ここで立ち小便しないでください」という注意書き。そう,インド人はよく立ちションするのだ。壁近くを歩いていたけれど,これを見て思わず遠ざかってしまった。壁の向こう側には何があるんだろうと思いながら観察していたら,なんとキリスト教の教会だった。まったく脈絡がないけれど,むかーし中学ぐらいのときに星新一のエッセイのなかで「私達日本人はなんだかんだで迷信深いのだ。鳥居に向かって立ち小便したやつの話なんて聞いたこと無いでしょ?そういうもんだ」という趣旨の文章が載っていたのを思い出した。

 

で,特に問題もなく会場入り。主催者のAさんとそのお手伝いのインターン生に会費を支払って席に着く。今回の映画は前回と違ってコテコテのインド映画だということだったのでそのつもりで観たら,もう本当に荒唐無稽なストーリーとダンスと恋愛ドラマと人情ドラマとアクションとマフィアと銃撃と爆発とが入り乱れた話だった。しかも3時間近い尺の長さ。Aさんによると,これでもオリジナルよりは少しカットしてあるそうで,オリジナル版は3時間を超えるのだという。なお,Aさんは本作の日本語字幕も作っており,今回のカット版はマレーシアで入手してきたのだという。

冒頭と途中でスピーカーから音がでないというトラブルが発生。いちおう「エンジニア」という触れ込みの設備担当者(インド人)が待機していてあれこれ試すのだけれど,なかなか回復しない。一瞬回復したかな?と思っても,すぐに音が消えてしまう。眺めているとどうやら途中で音源のスイッチがプツっと落ちているように見える。それに対してそのエンジニアはON/OFFのスイッチを入れ直しているだけにしか見えない。これのせいで30分ぐらい余計に時間が経ってしまった気がする。そこに観客のひとりであるS社のFさんが加わって,あっさり直してしまった。思わずみんなで拍手する。映画が終わった後,いったい何をどうしたのかと訊ねてみると「配線が多すぎて,回路がショートしないように保護機能が働いていたみたいでした。なので余分な線を外して整理したんです…っていうかそもそも配線がめちゃくちゃでしたね」というようなことを仰った。さすが本職!と思っていたら,Fさんは音響分野の仕事ではないそうで,子供の頃からの趣味で詳しくなったのだという。っていうかあの「エンジニア」なんだよいったい…。

映画の内容は一口には説明が難しいので割愛。単純な話なのに無理に色んな話を詰め込みすぎていて冗長になっていて,でもやっぱり単純な話だった。なるほどこれがマサラムービーというやつか。なお,ダンスシーンのひとつでなぜか唐突に舞台が日本の京都になっているものがあって面白かった。ストーリー上は京都である意味が全然ないので,まあ単純にロケに行きたかっただけだろう。

鑑賞が終わった後はホテルロビー近くのレストランで懇親会。そこでたまたまAさんと隣り合った席に座ったのでいろいろ訊いてみた。個人的に,バンガロールで日々の生活をしている範囲ではあまり暴力団的な存在を意識することがなくて,映画に出てくるような半グレとヤクザ組織みたいな連中がインドにも存在するということがちょっと新鮮(?)に感じられたので,その点を訊いてみたところ「ああ,いますいます。いっぱいいますよ」と即答された。インドの政治は腐敗しきっているので,政治家とヤクザがズブズブの関係だそうで(これは映画でもよく描写されていた),先週から頻繁に発生したストライキの暴動も,ああいうインドヤクザが引き起こしているそうだ。「ヤクザとストライキにどんな関係があるんだろう」と思っていると,野党の政治家がヤクザ組織に報酬を渡して,ストライキの時に街で大騒ぎや暴動行為をさせるのだという。それで収集がなかなかつかなかったり具体的な被害が発生すれば,それを口実に与党を攻撃するのだという。

なお,この映画はおよそ5億ルピーぐらいの予算で作成され,8億ルピーの興行収入になったのだという。3億ルピーというとおよそ5億円ぐらいか。やっぱりハリウッド映画の規模には敵わない。

 

帰りは同じ会場にいた上司のMさんと一緒に帰宅。「最近のインド映画はグローバルマーケットを狙いだしているので,ああいうメチャクチャな話の映画はだんだん少なくなっていて,ちょっとずつまともなものを作り始めている」とのことだった。確かにあんなストーリー(すんません)じゃ世界ではとても受け入れられないだろう。帰宅したらもう22時近かった気がする。

 

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おまけ。チャリティイベントで買ってきたもの。一番右のフレンチブルドックの手提げカバンは日本でも見かけたもので,日本からインドに発注して,納品物を日本で売っているらしい。日本で見た時は1000円以上した気がするけど,250ルピーだったので購入。真ん中の子供が3人描かれているシャツとマグカップは,貧しい子供向けに教育を提供するインド人ボランティアのNPOが売っていたもので,マグカップ類が好きだということと,子供の絵が可愛らしく見えたので寄付ぐらいの気持ちで購入。真ん中下の白いのはシアバターのクリームで,最近唇がカサカサするので塗ってみることにした。200ルピーだった。こんな量を日本の化粧品店とかで買うと何千円もする気がする。一番左のは映画鑑賞会の会場に置いてあった,こちらの旅行会社のパンフレット。日本語でも対応してくれるらしく,バンガロールにいる日本人がインド国内を旅行する時にお願いする定番の会社らしい。