Grover Zampa Vineyards
朝:シリアル
昼:外食
夜:自炊
日本だとまだ馴染みが薄いけれど,インド産ワインは世界的に有名になっていて,とりわけバンガロールで作っているワインはヨーロッパ・中国・日本にも輸出されている。そして,バンガロールの街中からでも車で1時間程度で到着できるワイナリーがあるということで,同じ職場のYさんの企画で総勢6名でワイナリー見学に行った。
朝9時にHさんのドライバーの車で家を出発し,Hさん宅に寄ってHさんをピックアップ(Hさん宅のほうがワイナリーに近い…といってもそこから40分以上は乗るのだけれど)して,そのまま一直線にワイナリーに向かう。行き先はGrover Zampa Vineyardsという場所で,その近辺まで来ると林・野原・畑・そこかしこに放牧されている牛など,かなり田舎じみた風景になってきた。ただし,車道はそこそこちゃんと舗装されているし,街中と違ってゴミはまったく落ちていないので,むしろ歩きやすそうではある。こういうところをぶらぶら歩いたりマウンテンバイクで走り回るほうが,旅行者的には楽しいかもしれない。
以下,写真が続きます。
ワイナリーに入場するとこういう綺麗で涼しげな中庭がある。
庭その2。
わんこ。泥だか牛のウンコだかなんだかで汚い。このワイナリーのマスコットというわけではなく,単なる野良犬。ツアー開始までの待ち時間中に僕が庭をぶらついていたら,餌をくれるのかと思ったのか人懐こくまとわりついてきた。しばらく放置していたら「チッ,なんだよ」という態度でどこかに去っていった。
ワイナリーの待合室・食事場所・会計場所。樽を使ったテーブルと椅子が良い感じ。
別アングルから。窓の外の光景と相まって,ヨーロッパっぽい雰囲気。
入場証を腕に巻く。
しばらくしたらガイドさんに連れられてツアー開始。
ISOの認証を取っていると誇らしげに書かれている。なお,写真撮影禁止の看板があったけれど,ガイドさんに訊いたら「まぁ,ダメとは書いているけれど,別にダメにする理由もないんだよね。いいよ撮って」と軽く言われた。
ワインの貯蔵タンク。これは格好いい。5〜6メートルぐらいあるタンクがずらりと並ぶ。こんな風景がちょっとした体育館ぐらいの広さぶん続く。
なお,この貯蔵所は涼しいのを通り越して寒いと感じるぐらいに気温が低い。その点についてガイドさんが「ここは空調は一切使っていない。なぜだと思う?」と訊いてきた。誰も分からずに戸惑っていると「タンクを触ってみなさい」と言われたので触ってみたら,驚くほど冷たい。このタンクの影響で室温がグッと下がっているのだった。面白いのがその冷却方法で,タンクは二重構造になっており,その隙間部分に冷却水を入れて冷やしているのだという。空調ではなく水を使う理由は,空調だと電気が切れたり機械が壊れたらすぐに室温が高くなってしまうけれど,水は温度の変化がゆるやかなので,たとえ電気が切れてもかなり長時間に渡って冷たさを維持できるからだそうだ。なるほど。
ボトリングする機械。イタリアから輸入したものだという。
ガイドさん。インド人ではなくサウジアラビア出身。非常の話が巧い人だった。とにかくよく喋る。こういう人にインタビューしたら,いつまでも喋り続けるだろう。この人から聞いた話は最後に箇条書きでまとめます。
日本に輸出するボトルが詰め込まれている箱。
これも日本行き。蔵前か。
そして樽の貯蔵庫。ここで試飲会も行われた。ムードが高まって興奮する。
無駄にパノラマで撮影してみた。今はまだ樽が少ないほうで,あと数ヶ月するとこの部屋のほとんどが天井まで樽で埋まりきるのだという。
そして試飲会。いろんなワインを手に説明してくれる。この写真でガイドさんが手に持っているのはINSIGNIAというもので,年に300本しか作られないものだという。あとで買おうとしたらもう売り切れており,次のボトリングは10月だと言われた。うーむ。
チーズとクラッカー。ワインは6種類ぐらい試飲しただろうか。気がついたらグラス2杯以上ぐらい飲んでいた気がする。みんなほろ酔いになった。
そして昼食会。ここでもワインが振る舞われる。シャンパンと赤ワインをそれぞれ一杯ずつ。メインはビリヤニ(揚げ煎餅みたいなの隠れてるけど)で,横にはショウガを効かせた玉ねぎスープみたいなものがある。このショウガ玉ねぎスープが最高にうまくて,ワイナリーの職員の兄ちゃんに「3杯は行けるぞ」と言われたが気がついたら5杯飲んでいた。ビリヤニにまで掛けて食べた。
そして戦利品。ツアー代含めて全部で6000ルピー超。良い経験だった。5〜6人ぐらい人を集められたら,また来ても良いと思った。日本から出張してくるゲストの接待にも良いかもしれない。
帰りの車の中ではみんな酔っ払って落ちた。僕も家に着いたら速攻で落ち,目が覚めたらやや二日酔いっぽい。そんな頭の痛みを我慢してこの記事を書いてます。
おまけ。ガイドさんの話の中から面白かった部分を憶えている限り。
- ムンバイとハイデラバードでもワインを作っている場所がある。(ハイデラバードでインドというのは意外だと伝えたら)ワインを作るには寒暖差が大事なので,ハイデラバードは意外に向いている。
- ケララ州のほうでも酒を作っている場所がある。実は密造酒なのだが,アルコール度数が強くて味が良い。インド人はしょせん酔えればなんでもいいのでそういう酒が人気がある。しかし,味は実はここのワイナリーのものよりウマイ。
- インドは宗教同士で融和せずに喧嘩ばかりしている。俺のサウジアラビアだってイスラム教が強いところだが,それぞれの宗教の祭のときには割とみんなで楽しくいっしょになってい祝うし,インドほどあからさまに社会的な喧嘩になったりはしない。ここの連中はヒンズー教とキリスト教とイスラム教と他のいろんな宗教がいつも喧嘩ばかりしている。ヒンズー教同士だって喧嘩している。だからインドは先進国じゃなくてまだまだ発展途上国なのだ。
- このワイナリーでは作っていないが,ポートワインやアイスワインを作っているワイナリーもインドにはある。アイスワインはドイツのものを始めとしてヨーロッパが有名だが,実は中国の奥地でも作っていて,正直なところ中国のアイスワインが世界に出たら評価がうなぎのぼりになると思う。それぐらい美味しい。なのになんで有名じゃないかというと,要するに言葉の壁があるからだ。彼らは英語をまったくしゃべれないので,なかなか世界での知名度が向上していかないのだ。もったいない。
- ワインと一緒に食べたときに,ワインの味わいがマイルドに感じるものが,その食べ物と相性の良いワインということになる。(「そこで例えば…」といってチーズを食べながら二種類の赤ワインを飲み比べるように促された。言われたとおりにしてみると,片方は非常にまろやかな味わいになり,もう片方は変な渋みを感じるようになった。これは面白い)
- ワインも飲むべき季節がある。暑い時期は白ワインが良く,寒い時期は赤ワインが良い。その逆のパターンでやると気分が悪くなるはず。よく真夏の暑い時期に赤ワインを飲んで頭痛がすると文句を言う人がいるが,そもそも真夏の暑い場所で飲むべきではない。そこで「ワインが悪い」と言われるのが残念だ。
インド国外から来た人だからか,インド人に対する評価に容赦がない。あと,それワインと全然関係ありませんよねっていう内容に話が平然と逸れたり,密造酒の味が自分たちのワイナリーのものより美味しいと平然と発言したり,宗教についてもイスラム教だってシーア派とスンニ派で喧嘩しとるやんけ,とか,いろいろツッコミどころ満載な発言が次々に繰り出される,非常に面白いガイドさんだった。もちろん,ワインに対する見識はちゃんとしていた…と思う。