インド人向けのお土産の話

職場のチーム内にイスラム教徒の青年がいる。昼休み直後ぐらいの時間に会議の予定を入れると「お祈りするからちょっとだけ遅れる」というようなことを言うぐらいで、それ以外の点では宗教に厳格な様子もない、ごく普通のインドの若者である。とはいえ、最初に彼がイスラム教徒だと知ったときは、日本での帰国休暇の際に買ってくるお土産にちょっと気を配った。耳学問ハラールのことは知っていたので、じゃあ何を買えば安全なんだろうか、と。

それまでは、例えば「じゃがりこ」だとかチーズおかきなんてのを買っていたが、それでもベジに配慮して「おばあちゃんのぽたぽた焼き」なんかも織り交ぜていた。これは動物性のものは使っていないのだ。しかし、ハラールに対応したものとなるとなんだろうか。豚肉エキスだとかゼラチンとかさえ避けていれば良いというものでもなく、所定の方法で加工されていないと、たとえ豚肉以外の肉でも駄目なのだそうだ。こうなると成分表だけ見ていてもお手上げである。

考え出すとキリがないので、羊羹のように動物性のものは一切使っていない和菓子を選んで買っていったりした。コンビニで良く売っている、1個あたりウン十円の小さいやつを数個とか。生八ツ橋なんかも買っていったことがある。甘いし、シナモンをまぶしてあるからスパイス好きのインド人なら好んでくれるかなと。いちおう安全そうなのを選んだから、その中から自由に選んでくれ、もしキミ的に駄目なものだったらスマン、という感じで。そういえば日本の職場の先輩のUさんはシナモン嫌いで生八ツ橋とかいっさい食べない人だったな。書いてて突然思い出してしまった。

 

そういうふうにお土産一つにも心を砕いていたわけだが、今日、昼飯時にたまたまアイスを食べに食堂のほうに行ってみたら、そのイスラム教徒の青年が普通にチキンパスタを食っていた。会社の食堂はベジ・ノンベジの区別はあっても特にハラール認証なんかは掲げていないのだが、そのへんは大丈夫なんだろうか。どうにも知りたくなったので、夕方ごろにたまたまトイレで連れション状態になったときに訊いてみた。すると、どう応えようかと迷ったような顔を一瞬だけ見せたが、すぐに「豚じゃないし、まあ腹減っていたらなんでも食いますよ」的なことを言った。

そういえば、別の若者だが、彼はご両親が厳格なベジタリアンなので家での食事は完全にベジタリアンになっているが、外だと両親に内緒で肉料理をガンガン食っていた。彼のご両親には自分が肉を食い酒を飲むということは一切教えていないのだという。まあ、けっきょく若い連中はこんな感じでみんなある程度気楽にやっているらしい。

 

とりあえずじゃがりこと羊羹のコンボなら誰に対しても安全なので、お土産については今後もそれで行く所存。

 

マイソールの件は週末にでも書きます…。