贈り物

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7年半インドに在勤していたTさんに送別品を贈ろうということになったときに、何が良いか少し悩んだ。従来のパターンだと、真鍮のような金属あるいはサンダルウッドのような香木で出来た神様の像(だいたいガネーシャラクシュミ)を送るのが定番なのだが、7年半も住んでいた人にそれはありきたりすぎるだろう。その人はインド全州と連邦直轄領に足を運んだ人なので、下手するとそんな神様の像はとっくに網羅しているような人かもしれない。

変に自分で決めるよりもご本人の希望に任せようということで、Tさんに直接訊いてみた。すると「クリケットのバットにみんなからサインをもらいたい」とのことだった。なるほどこれは良いアイデアだ。神様の像よりもずっと洒落ていて気が利いている。

 

そういうわけで、お昼休みのタイミングでオフィスを抜け出し、オリオンモール内のLandmarkに買いに行った。2900ルピーぐらいだった。けっこう高いな。おまけに、このバットを持って職場のビルに入ろうとしたら、保安上の理由から駄目といわれてしまった。なるほど確かにそうか、とも思うのだが、一方で僕のオフィスの片隅には、昔の駐在者の置き土産であるゴルフバッグが置いてある。ゴルフクラブもけっこうな凶器だと思うんだが、あれはどうやって持ち込んだんだろう。それはともかく、守衛さんに事情を説明して許可してもらえないかとお願いしたら、ビル事務所のほうから背広を来た中年紳士が現れ「ビルの裏側にあるサービス用エレベーターから持ち込んでください。それなら大丈夫」と言われた。そうして、いかにもヤク中の吹き溜まりやゾンビの巣窟になっていそうな薄暗い地下駐車場を通り抜けて、Amazonの配達員やお掃除のおばちゃんと一緒に業務用エレベーターに乗って職場に辿り着いたのであった。

 

日本に帰任する人へのお土産にはクリケットバット、これをおすすめしたい。