日曜日

3月22日はインド全土で屋内待機の指示が出ていたので、店に行くのはおろかマンションの外にすら出ることができず、家の中に閉じこもっていた。蟄居というやつだ。英語だとCurfewと呼ぶらしく、今までのインド生活の中でこの言葉を2回ぐらい聞いたことがあるが、実際に国全体でこんなふうに適用されたのは今回初めて経験した。本当にどこにも行けないし、行ったところでどこも閉まっているので、家の中でひたすら時間をつぶすしかない。耳を澄ましていてもまったく雑音が入ってこず、列車や電車のクラクションも、隣のテニスコートで熱の入った人があげる奇声も、何も聞こえてこない。

 

「こんなときでもサービスしてくれている警察や宅配員や医者や報道関係者やらの皆さんに感謝の意を込めて、17:00になったら皆さんベランダや窓側に出てベルを鳴らし、彼らの努力に報いましょう」みたいな御触れが出ており、本当にそんなことをするんだろうかと思っていたら、本当にそれが始まった。17:00ジャストか数分早いぐらいのタイミングで、マンション中が歓声とリンリンとした音に包まれた。僕自身はあまりこういうイベントに参加するタチではないのだが、それでもちょっと面白くなったので、平べったいフライパンとお玉で参戦してみた。なかなか硬質で澄んだ綺麗な音が出た。こういう時のインド人の一体感は本当に凄い。

 

その夕方、領事館から、23日から1週間、バスや電車等の公共交通機関が停止されるので各自よく注意するようにとの連絡が来た。社員の中には、特に車を持てない若手は、バスや電車を利用している人たちも多い。彼らはたぶん出社できないので、在宅勤務か待機を許可することになるだろう。いやぁ、こんなことになるとは年明けには想像もしていなかった。