在宅勤務というもの

本格的に在宅勤務を始めて3日が過ぎた。厳密に言えば水曜日はUgadiでお休みだったのだが、みんなロックダウンでハイになっているためか、こんな日でもバンバンメールが飛んでくるしガンガン電話会議が発生したので、事実上普通の勤務日と変わらなかった。

たかだか三日経過したに過ぎないのだが、在宅勤務について思うことがすでにいくつもある。「在宅勤務」で検索すると山のようにいろんなブログやニュース記事がヒットするので、おそらくこれから書くことはどれをとっても誰かが語り尽くしているような気がするけれども、そういった記事はあまり読みこまずに、自分なりの感覚を率直に書いてみたい。

 

意外と集中できる

これが自分にとってはとても意外だった。僕は今の今まで、自分は在宅勤務には最も向かない人種だと自覚していたからだ。きっとゲームやネットサーフィンですぐに気を散らしてしまったり、10分おきにコーヒー紅茶を作り出したりして、ろくに仕事が進まないだろうなと決めつけていたのだった。ところが、実際に在宅勤務を始めてみると、1時間や2時間ぐらいは本当に気を散らさず集中して仕事に没頭できてしまう。日中はトイレにもほとんど行かない。相棒がなるべく邪魔をしないように配慮してくれているというのもあると思うが、非日常的な状況なので神経が興奮しているんだろうか。今のところダレる気配はないし、つい業務中にビールを飲んでしまうということもない。ビールについては、昨日で在庫が尽きたというのもあるのだが、後述するようにいつでも電話が掛かってくる可能性があり、気が抜けないのだ。ビールを飲んで酔っている暇もない。

こちらの仕事の状況とは無関係に子供たちがはしゃぎ回るので、その相手をするのだけれども、これは気持ち的にはともかく物理的にはものの数分でだいたい落ち着くことなので、そこまで差し支えはない。むしろ職場にあってしょっちゅう雑談ばかり仕掛けてくる隣席のアイツとかちょくちょくお茶に誘ってくるアイツとか会社の旅費精算システムの使い方が分からないといって自分で調べもせずしょっちゅう訪ねてくるアイツのほうがよっぽどウザくて邪魔だった。

 

通勤がなくて快適

これはもう言うまでもない。たぶん在宅勤務を経験している人は100人が100人とも同意するだろう。僕は現在ドアツードアで5分程度という極めて恵まれた通勤環境にいるのだが、それでもその手前の作業、つまり着替えたり身だしなみを整えたり靴を履いたり…といった細々とした作業は面倒なもので、それらが通勤時間の5分も含めて全部なくなる。これが実にいい。体力・気力ともにまったく消耗しないままパンイチでハミキンしたまま仕事に臨めるのだ。「通勤」という儀式が無いと仕事モードのスイッチが入らないんじゃないかと少し心配していたのだが、少なくとも僕に関してはそんなことは全然なかった。

 

プロジェクターの悩みから解放される

パワポなりなんなりの資料を投影するために、どうしてもプロジェクターのある会議室を押さえたいと思っても、先約が入っているのでどうしても押さえられない、ということがしょっちゅうあった。しかし全員が在宅勤務という状況だと、当然のようにSkypeとかWebExのようなビデオ会議ツールを使うことになるので、参加者全員で自分のデスクトップや開いているウィンドウを共有できるから、こういう会議室確保の悩みがゼロになった。ぶっちゃけ、通常勤務に戻っても、会議はぜんぶビデオ会議ツールで自席からやっちゃえばいいじゃんという気がしてきた。イヤホンとかヘッドセットを使えば、臨席で別の人が他の会議をやっていてもちっとも気にならないだろう。

 

電話の頻度が高まる

これはマイナス点。同じ職場にいたら、ちょっと立ち寄ってフッと会話して解決するようなことでも、まずチャット→伝えきれず電話、ということがしょっちゅうある。最近のイケてる職場はチャットでのコミュニケーションが最強だとかメールなんてもう使わなくなったみたいな、若気の至りのような強気の雑誌コラムやブログ記事がたまに目につくが、それでも物理的に声で対話したい局面はいくらでも出てくる。そういうわけで、ちょっとしたことでも電話が掛かってくるようになったし、こちらもつい掛けてしまうことが増えた。本当は全部チャットで片付けられたらスマートなんだろうが、なかなかうまくいかない。

 

休憩のタイミングが分からない

これもマイナスか。職場だと、なんとなく仕事の合間合間にトイレでうんこしたりパントリーでお茶を作ってもらったりできるし、昼休みの時刻も決まっているので、そこに一種のリズム感が生じるのだけれども、在宅勤務だとそういうのがなくて、何となくずーっと仕事をしているような状態になる。何しろ相手はインド人なので昼食の時間が日本人のそれとズレているから、こちらが昼食を食べたい時間でもガンガン電話してくる。それの対応をしているうちに何となく昼食を食べそこなって、そのまま仕事を続けてしまったりする。さすがに途中で腹が減るので冷蔵庫を開けて間食をとったりするのだけれども、これって栄養的にはよろしくない気がする。

在宅勤務だと、場合によってはベッドに大の字に寝っ転がってスマホでメール返したりしてのんびりできるかと思ったが、そんなのありえない幻想だった。

 

運動不足になる

これもたぶんみんな思っているし悩んでいるだろうなぁと思う。片道ドアツードアでたった5分でも、たとえば階段で職場(日本でいう8階)まで昇り降りしたり、職場の中を移動していたら、それなりの運動にはなった。在宅勤務だとそれがまったくない。こういう時こそプリズナートレーニングの出番な気がするのだが、家族の前でやるのは意外と恥ずかしいし、仕事に一区切り着いた時点では割とぐったり疲れているので、あまりやる気になれない。

 

こんな調子でプラスマイナスいろいろあるのだが、今のところプラスのほうが大きいと思っている。あと1週間ぐらい様子を見て、また振り返ってみたい。