輪廻転生水車
朝:オレンジ
昼:社食カレー
夜:外食
こちらに来て3ヶ月程度が経過したIさんがついに胃腸の調子を崩して昼食を食べなくなった。「とりあえずあの(社食の)カレーは食べるの止めます」と力なく呟く。日本人の駐在者は必ずこういう酷い目に一回は遭うらしい。僕は1年2ヶ月インドに居てまだこういう状況には一度も遭っていないけれど,こんな油っこくてスパイシーなものを毎日食うなんて,カツオや野菜類の出汁から採れる玄妙な食味の世界に生きているか弱い日本人にはとても耐えられないだろうなぁ,と,毎日余裕で耐えながら思ったりする。超飽きるけど。
僕がインドに来る前から続いていたプロジェクトがついに8月1日から本番稼働を迎えたので,部署のみんなで盛大にお祝いのパーティーを開いた。本当ならこのことをもって「本番稼働のお祝いパーティー」という見出しにでもするところだけれど,子連れ狼のセリフが頭から離れないのでとりあえずそういう見出しにしました。人の世にあれば般若湯を口にして法悦境に至ることもありましょう。故にハンピの続きは木曜日ですらなく金曜日以降にございまする候。以上。
ハンピ紀行(5)
朝:リンゴ
昼:社食カレー
夜:自炊
とあるルートで入手した子連れ狼を読んでる。おもしれー。ヒンディー語で「それがし冥府魔道に生き六道四生順逆の境に立つもの」とか口走ってインド人に怪訝な顔をされてみたい。「孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥の八つを忘れた忘八者の俺たちに裏切りなンて言葉があンのかいッ」ってセリフを英語にすると一体どうなるんだろうかとか考え出すと止まらない。
というところで続き。
1日目の夜,シャワーを浴びようと思ったら水しか出なくて閉口した。体中ベトベトなのでそれでも我慢して浴びる。テレビを観ようと思ったら電波の入りが悪すぎてろくに番組が映らない。諦めて電気を消してベッドに入ったら蚊の襲撃にあってうるさいうえに体中を刺されて痒くてろくに眠れなかった。やっと意識が落ちてウトウトし始めたら,今度は猛烈な音量でイスラム教の礼拝の詠唱が響いてきて飛び起きた。部屋の近くに中庭があったので,おそらくそこで詠唱していたのだろうか。スマホで時間を確認したら明け方4時だった。仕方がないのでYoutubeで犬猫動画でも眺めて癒やされようとしたら3Gしか入らなくてまともに再生できない。まさに踏んだり蹴ったり。
というわけで8時ぐらいにまた水シャワーを浴びて朝食を食べに行く。MZNさんMYさんKさんもすでに食堂に来て食べていた。
米の蒸しパン「イドリ」を食す。イドリ自体はふわっとして少し酸味のある柔らかい味で,疲れた胃にちょうど良い。
ホテルの中庭。良い雰囲気である。ここでボサっと数日過ごすのも悪くないかもしれないなーと思いつつ,9時にホテルを引き払って,そのまま次の観光地に向かう。次の場所も有名なところで,ホテルから10分ぐらい走ったところにあった。
馬は本当に雑草ばっかり食ってる。選り好みとかあるんだろうか。こんな感じで水牛やらヤギやら馬やらが平然と放牧されているけれど,その周囲にこうやって遺跡があるっていうのが凄い。
そして遺跡内部への入り口。補修のためだと思うけれど,こうやって工事用のやぐらだらけだとちょっと格好悪い。
しかし中に入るとこれが素晴らしい場所だった。朝早いから観光客がほとんどいないということもあって,静謐なムードに包まれていて素晴らしい。遺跡もご覧の通りかなりきちんと手入れされているようで,廃墟のようなボロボロした感じがまったくない。おまけに天気が良いので青空がよく映える。
ここにも精緻な彫刻が壁といわず柱といわず一面に見られる。
これはたぶん狛犬的に配置された象なんだろうけど,首や鼻がもげてしまっている。
建築された当時はどれぐらい綺麗だったんだろうなぁとつい想像してしまう。
その一方で奥の方に行くと相変わらず怖い。心の底から信じていた皇后にハメられて暗殺された皇帝の呪いとかが込められていたらどうしようなんて想像して一人でゾクゾクしてた。
この人達は観光客ではなさそうで,どうも地元の奥様たちだと思われる。僕らがそこらじゅうを歩き回って建物をバシバシ撮影している間も,こうやってゆっくりのどかにずっとお喋りしていた。平和で素晴らしい。
いいじゃないですかこの雰囲気。
水を注いで貯めておく仕掛けがある。こういう様式の仕掛けはここに限らずインド中のいろんな寺院跡の遺跡に見られるものだけれど,この水がどうやって供給されていたのかは分からない。雨水をリサイクルする仕組みなんだろうか。
のどかなうえに空気も(比較的)綺麗で,寝不足でぼんやりしていた頭がすっかり覚めた。雰囲気をじっくり堪能しつつ,次の場所へ。
続く。
気分が乗らない
朝:シリアル
昼:社食カレー
夜:自炊
自分がこちらに来て以来ずっと関わっているプロジェクトがいよいよ明日から本番開始する。長かったなぁ〜。感無量。
こちらの気温は明け方だと20度を下回るので,窓を開けているとけっこう寒い。日本が猛暑でみんな音を上げているのと比べると天国のような気候に感じられる。いくら高地にあるとはいえ,同じ北半球でしかもインドのほうが赤道に遥かに近いのに,不思議なもんです。
なんでこんなに細切れに雑記ばかり書いているかというと,ハンピの写真を棚卸ししていたらまだ105枚もあってゲンナリしてしまったからです。この手のものは旅行熱のテンションが残っているうちに一気呵成にやらないとダメだな。というわけで明日に先延ばしすることにした。ダメ人間すぎ。
ラダック
朝:シェラトン
昼:なし
夜:外食
ジョギング中に雨に振られてずぶ濡れになりながら走った。走り終わるころに雨が止んだのでシャワーを浴びてそのまま外にメシを食べに行こうとしたらまた土砂降りになってしまってまた濡れた。なんてこった。さすが雨季。
ハンピの話ばっかりだと飽きてきたのでちょっと別の話を。
昨日の休日出勤で夜8時を過ぎた頃,そろそろ帰るべという空気が漂ってきたあたりで,インドの若者たちと雑談をした。日本のことやらインドのことやらあれこれ話をしたのだけれど,話がハンピ旅行に及んだ時に,そこで若者の一人が「ハンピも良いが,ラダックというところに行ったか?あそこは最高だぞ。あそこ行かないで日本に帰国するなんてもったいないから一度は行ったほうが良い」と熱く語りだして,Googleの画像検索であれこれ見せてくれた。なるほどこれは凄い。もう一方の若者も話に混じりだして,いろいろ情報を聞いてしまった。バンガロールから現地近くの飛行場まで直行便があるとか,2日あれば充分楽しめるとか,なんかいろいろ楽しそうな気がしてきた。次はココに決めた。一人で行くか道連れを募るかはちょっと思案どころだけれど,一人で好き勝手に行動してみるのも良いかもしれない。
ハンピ紀行(4)
朝:リンゴ
昼:自炊
夜:自炊
昨日からハマりが続いていて,インド人スタッフと共に昼過ぎに会社に結集してずっとあれこれ調べたり試行錯誤していた。なんとなく光は見えたもののイマイチすっきり解決していない状態のまま,もう夜9時になってしまったので解散することにした。あとは会社から歩いて1分の僕が自宅で一人黙々と作業することにした…。というわけでただいま現実逃避中。
そういうわけで,続き。
まったりした村を後にして,そこから歩いて10分ほどのところにある遺跡を見に行くことにした。
こういうところ。
この巨大な寺院の先から行ける。
補修中らしく櫓が組まれていた。それでも精緻な彫刻がはっきりと見える。
そして寺院をくぐった先にはこんな風景が広がっている。
広大な岩の大地の上に石造りの神殿やらなにやらが建っている。日本では絶対に見ることのない風景だろう。
無意味にパノラマ写真。右側のブロックが邪魔でいまいち雰囲気が出ないのが残念。
なかなか奇怪な光景が広がっている。とにかく見渡す限り巨岩だらけで,そのくせ割と自由にスタスタ登っていける。見たとおり岡というか山というか,けっこうな傾斜がある場所だけれど,歩くのに不自由はしない。
たとえばこれ。
よーく近づいて見てみると,底の部分はけっこう隙間だらけで不安定に見える。
これなんか底辺部の小さめの岩達がちょっとでも崩れたらその瞬間に大きい岩がこちらに向かって転がってきそうで怖い。
「グッジョブしているように見えますね」と言ったらみんなに賛同してもらえたが:
この角度からみた時に「卑猥な形に見えますね」と言ったら誰にも賛同してもらえなかった。
もうひとつパノラマ。これはよい感じに撮れた。
シヴァリンガというものらしい。こんな岩場に彫り込むとは。
見るからにヤバそうな遺跡。左側に向かって倒壊しそうにも見えるので絶対に近づきたくない。といいつつ中に踏み込んだけど。
そしてここが頂上。広々としているので分かりにくいけれど,けっこう高い場所にあるので周囲の風景を一望できる。晴れている日にここで夕日を見ると非常に綺麗であるという。この日は曇っていて見れそうになく,とても残念だった。
わざわざSUNSET POINTなんて書いてあるぐらいなので,やっぱり有名なんだろう。うーむ惜しい。
ここまでの岩場を歩いている中で,チャイを売り歩いている少年によく出会った。一人だけで,ポットと紙コップセットを持って,あの傾斜の激しい岩場を何度も何度も上下に往復しては旅行者に話しかけて売っていた。我々はただ手ぶらで,しかも片道を登っただけなのにけっこうバテてしまっており,そう考えるとこの少年の体力は凄まじい。何度も断っていたけれど,会うたびに断るのも可哀想になったので,インド的な甘さが苦手なMYさん以外の3人分を買ってあげることにした。体型も小柄なら顔も幼いので,てっきり10歳ぐらいだろうかと思って年齢を訊いてみたらなんと13歳だという。やっぱり貧乏で栄養状態がよろしくないのだろうか,それともサバ読んでいるのだろうか。
そうこうしているうちにだいぶ日が傾いてきたのでホテルに帰ることにした。ホテルで夕食を食べて一服し,その後はMZNさんの企画で花火をすることにした。MYさんがドライバーにお願いしてどこかから花火を調達してきており,ホテルからちょっとだけ歩いて離れた場所にある広間で花火をすることにした。
インドの線香花火は日本のようなお上品なものではなくて,長さが50cmぐらいある硬い芯で出来ており,火花が出ている時間もけっこう持続するし火花の量も多い。このときは風が猛烈に吹いていてなかなか火が点かなかったけれど,それでもいったんちゃんと火が点けば順調に花火が続いた。周囲は街頭も何もないほとんど真っ暗闇で,そこで強風に煽られながら花火に興じるサンオツ4人衆。しかし,ひさびさに童心に返って楽しかった。
こうして1日目の夜は更けていった。この頃にはみんなクタクタなうえに体中汗まみれなので,明日は9時にロビーに集合ということにして解散した。
次回からいよいよ二日目です。
ハンピ紀行(3)
朝:リンゴ
昼:和食弁当
夜:外食
いろいろハマってしまい,ひさびさに最後の一人になるまで残業した。気がついたら周囲が真っ暗になっていて自分以外誰一人としていない。たまに僕の席付近の電気を消灯しようとして守衛がやってきて,僕の姿を見てまた戻っていくということが何度か繰り返された。
さて,ハンピ紀行の続き。
これ,時系列的にいつの写真だったかちょっと憶えていないので,とりあえずここに載せておく。凄まじく広い場所で,見ているだけで全裸になって奇声を上げたくなるような野性を刺激される。
さて,次はヒッピーが集う村に向かう。
こういう雰囲気の道をずっと歩いていく。ガイドやリキシャ屋がいちいちうるさいので無視して進む。
猿。手に持っているのはとうもろこしで,近くを歩いていた6歳ぐらいの女の子が手に持っていたものだが,その女の子にススススっと恐れ気もなく近寄っていって奪い取っていった。女の子もさすがに驚いていたけれど,泣いたり叫んだりはせず,むしろ「あーーくっそー」というような表情で悪態をついていた。もう猿が完全に身近になっているんだろう。
そして村の入口に差し掛かった。今から突撃。
まさに「The 村」という感じの風景が続く。バイオハザード5の序盤にこんな場所があったような気がする。あれは舞台がアフリカだったけど。路地が多いのでけっこう歩き甲斐があるけれど,全体としてはこじんまりした小さな村です。
岩と一体化した住居。
そして軽食屋を見つけたので入ってみることにする。
こういう場所で,基本的には軽食をつまみながらゴロゴロ横になって2時間でも3時間でも過ごすような場所になっている。蝿が多いのだけが鬱陶しいけど,本当に居心地が良いのです。
2階からの風景。ちゃんと住人たちが日々の生活を営んでいる村であり,その人達がついでに旅行者向けの店を運営しているという場所です。
手前で足を伸ばして寝転がっているのは,車中のビールが抜けておらず体調が悪そうだったKさん。熟睡していた。そういう僕もかなりまったりとした。右手側にいる女の人2人はまだ20代と思しきフランス人のバックパッカーで,ここに2日ほど滞在し,その後はマイソールに行くと言っていた。なお,フランス語ではマイソールではなく「ミソール」と呼ぶらしい。また,日本にも行ってみたいのだが今はまだ金が溜まっていないので,今年はこういう安旅行ができる場所で我慢して,来年に東京から京都までカバーしたいとも言っていた。元気な人達だ。
KさんとMYさんが休憩している間に,僕とMZNさんはもう少し村を探索すべく繰り出すことにした。写真には写っていないけれど,牛(水牛)や馬がそこかしこにゴロゴロいる。蝿が多い理由はこれだったのだ。でも,全般的にはそこそこ清潔な村だと思う。道にウンコが転がっているものの,変な異臭もなし。
1時間半ぐらいダラダラした後で先程の店を出て歩き回っていると,さらにもう一つ店を見つけた。これはMango Treeという有名な店で,ガイドブックにもちゃんと載っている。とりあえず入ってみることにした。
ここもゴロゴロ寝転がれるような作りになっている。さっきの店より開放感があるけれど,僕はさっきの店のほうがまったりくつろげて性に合った。
Mango Treeで頼んだ謎の飲み物。Limcaというもので,とりあえず頼んでみたら昭和時代のコーラのボトルのような物が出てきた。飲んでみると単なるレモネードみたいな味だった。
…と,こういうとにかくユルい雰囲気の村で,確かにヒッピーが集うのも分かる。こういう場所で何も考えずにダラダラと5日ぐらい過ごすというのも悪くない。積読状態の本があれば,こういう所に持ってきてひたすら読みふけるというのもアリだろう。ただ,酒と肉が無いのだ。ベジタリアンの食事だけであり,飲み物もノンアルコールのものばかり。想像だけど,酒を出したらヒッピーたちが大騒ぎして村人の安寧秩序が乱されてしまうから自粛しているんだろう。といっても,外から持ち込むのはOKらしい。
次は,一日目のクライマックスに行きます。というわけで続く。
シンガポールからの客人
朝:シリアル
昼:社食カレー
夜:外食
客人と書いて「まろうど」と読むという豆知識。
同じ会社のシンガポール拠点の人がやってこられたので、夜はDistrict 6で接待。
飲み食いして、帰りは土砂降りに遭い、誠に疲れ申した。よって、ハンピ紀行の続きは明日に持ち越す。と全力でこれを書き終えたので、もう寝る所存。