日本へ

インド駐在中の日本人の多くが似た状況だと思うが、インドにおける医療環境上の懸念から、我が家もいよいよ日本に一時避難することになった。そういうわけで、12日のJAL臨時便により家族一同で急遽成田に向かうことになった。この臨時便を手配するために全力を尽くされた本邦大使館・領事館・日本人会とJALの皆さまには心から感謝である。

 

会社が手配してくれた小型バスにより、Sさん御一家と共に午後2時にケンペゴウダ空港に向かった。真夏日の猛烈な日差しと暑さ。案の定、道はガラ空きで、渋滞の気配のかけらもない。バンガロールどころかインドという国の都市部でこんな光景を見ることになるとは、コロナ騒ぎになるまでは考えたこともなかった。要所要所で警察が検問を構えているが、ドライバー会社が必要書類をうまく手配してくれていたこともあって、まったく問題なく通り過ぎることができた。

 

途中の街中や道沿いの光景も様変わりで、露店の野菜売りが辛うじて営業しているものの建物を構えた店はどれも完全に閉めており、道を行き交う人も皆無に近く、ギラつく炎天下のなかで異様な雰囲気を醸し出していた。しかし、どういうわけか「10歳ぐらいの少年がスクーターを運転し、その後部に兄だか父親だかが乗っている」という謎のコンビを見かけた。あれ、なんだったんだろう。交通量が超少ないこのタイミングで弟だか息子だかに運転を教えていたんだろうか。インドらしいものを目撃したなぁと思った。

 

そういうわけで、30分程度で空港に到着した。必要書類を出せば特に問題なく空港内に入れた。ただ、健康チェック票みたいなものに日本での滞在先を記入するのを忘れてしまい、帳票の裏側に書けと言われてしまったのが軽いミスだった。インターネットで簡単に検索できるからいいやと思って控えていなかったのだが、インドらしく4Gでも接続性が悪いため、検索に一手間かかってしまった。

 

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空港入り口で水色の防護服を着た検問官が体温をチェックする。この写真だと普通だが、暇で気分転換したいのか、あるいはそういう作法があるのか、たまに銃撃アクション映画のように身体を半身に構えて、右手を目一杯まっすぐ前に伸ばして拳銃を構えるあの姿勢で検温する時があった。あまり意味はない気がするが、なんとなく自分が検問官だったら同じことをしそうな気がする。あるいは拳銃を横倒しに構えてみたりとか(ギャング撃ちとかハリウッド撃ちというらしい)。

 

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いやぁ、バンガロールJALのロゴを見ることになるとは。本邦のキャリアを異国で見ると嬉しくなる。

 

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夜の便で飛んだので、成田には早朝6:30に着いた。幸いインドはPCR検査の対象外なので、簡単な書類提出と、連れていた乳児の検温だけですべて終わった。PCR検査対象国の一覧を見ると、中国・韓国・イタリア・イランとかは当然として、アルバニアとかサンマリノのような馴染みのない国もたくさん入っていて興味深い。サンマリノは事実上イタリアのようなものだからまだ分かるが、アルバニアも危険地帯なんだな。

 

日本はたまたま低気圧の影響で大雨かつ気温が急に低くなっており、10℃ぐらいと肌寒いどころではない寒さだった。相棒がジャケット類を持ってきていたのでそれを着て多少マシになったものの、ウィンドブレーカー程度なのでまだ寒い。バンガロールのクソ暑さを思い出した。若い頃は小デブだったこともあって暑いのが苦手で寒いほうが調子が良かったのだが、歳を食ったためか暑いほうが調子が良い体質になったので、今すぐバンガロールに帰りたくなった。

 

公共交通機関は使用できないので、会社経由で手配したハイヤーに乗って宿泊先に向かう。渋滞こそなかったものの、街中に入るとごく普通に車が行き交っているし、往来を歩く人も多くて、なんとも不思議な感じがした。そんなことを運転手さんに何とは無しに話すと、「皆、なんか緊張感ないですよね。絶対にまずいと思うんですけどねぇ。在宅勤務とかまだぜんぜん少ないし、ほら、マスクせずに歩いている人も割といるんですよね」とのことだった。そこから例の布マスク2枚の話とか助成金の話とかまで話が広がっていった。

 

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宿泊先に着いたらクタクタだったので、風呂に入り、その後は家族で泥のように寝た。午後3時過ぎに目が覚めたらまだ大雨だったが、今日明日ぐらいを生き抜くための燃料を買い出しに出た。燃料というのはつまり、プレモルである。もちろんそれだけじゃなくて、パンや弁当やお惣菜を買い込んできた。明日、天気が好転したら、自炊できる程度の食材も買い出す予定である。

 

ここから14日間ホテルにカンヅメになるわけだが、その頃には事態はどう変わっているだろうか。